チャイコフスキー「眠れる森の美女」より「アポテオーズ」

チャイコフスキーのいわゆる三大バレエ中でいちばんマイナーな曲が「眠れる森の美女」でしょうが、きいてみればそこはチャイコフスキー作品、やはりチャーミングな名作であります。
全3幕約2時間半の全曲中でぼくがいちばんすきなのは「アポテオーズ」、大団円なんて訳されてますがつまり全体の幕引き、最後の最後のナンバーです。
華麗なファンファーレのあとにやや憂いをひめた品格ある(英語でCLASSYとかいってみたくなるような)メロディー*1チャイコフスキー一流のオーケストレーションで披露されます。うまく説明できないのが残念ですが、ほんとうにすばらしい幕切れなのです。
で、このナンバー、「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」ラストの叙勲式典の音楽の元ネタでもあります。
けさはそのアポテオーズをまさに絢爛豪華にオケを鳴らしきったストコフスキー指揮ナショナル・フィル1976年の録音できいています*2。バレエの伴奏用にはつかえそうもない演奏ですが、音だけをきく鑑賞用としては説得力充分、管弦楽の魔術師・ストコフスキーの面目躍如たる名演です*3


The Columbia Stereo Recordings (10cd)

The Columbia Stereo Recordings (10cd)

 
残念ながら単独でのCDリリースはされていないようです。


バレエ音楽としての側面をたいせつにした演奏なら、プレヴィン指揮ロンドン交響楽団*4の1974年録音がおすすめです。


Sleeping Beauty

Sleeping Beauty


いろいろな型番でリリースされていますから、もっとやすいものもあるはずです。ちなみにぼくがもっているのはプレヴィン/LSOの三大バレエ全曲が収録されたフランス盤6枚組BOXセット。3000円でおつりがくるような価格だったような(;´Д`)

*1:チャイコフスキーはすばらしいメロディーメイカーですが、このメロディーは彼のオリジナルではありません。「アンリ4世賛歌」という王政復古時代のフランス国歌です。曲そのものは16世紀アンリ4世存命中からあったそうです。

*2:ややこしいんですが、この録音「眠れる森の…」という曲名ではリリースされていません。「オーロラの結婚」という曲名になっています。ロシアバレエのディアギレフが第3幕の音楽を中心に選曲した抜粋版なのだそうです。

*3:実はストコフスキーはこの録音の10年前にデッカに「眠れる森の美女」抜粋をニュー・フィルハーモニア管弦楽団と録音しています。こちらもハイカロリーな演奏ですが、やりきった感にまさるナショナル・フィル版をとります。

*4:余談ながら「スター・ウォーズ エピソード4」のサウンドトラックはこのLSOが演奏しています。