NHK土曜ドラマ「夫婦善哉」

語り手は法善寺横丁のお多福人形。なんや奇をてろうて、などといってはいけない。原作初版本の扉口絵がこのお多福人形、「オダサクはん頼りにしてまっせ」という脚本・藤本有紀から原作者・織田作之助への目配せにちがいない。実際開幕早々原作に準拠する「おっさん、牛蒡あげてんか」というせりふだってでてくるのだし。
ドラマにみる大正から昭和にかけての大阪の町の風情はとても魅力的。まるで江戸時代な裏長屋からモダンを絵にしたような電飾華やかなる歓楽街まで時代が地層のように重なりあって一筋縄ではないのが生きている町のリアルなかんじがしてすばらしい。
リアルといえば、せりふまわし。BK制作ドラマなのにきちんと関西弁をしゃべれないキャストがいて興ざめなんてままあることだが、今回はみな、アクセント、イントネーション、文句なしです。オダサクやるならこうでなくちゃね。
キャストといえば、どうしてもかの名作・映画版の森繁・淡島コンビにくらべられてしまうだろう損な役回りの主役 森山未來尾野真千子コンビ*1以下、みな熱演・力演とはちょっとちがう”抜いた”演技で好感度大。
今夜0時10分から再放送ありなので、みていない方はぜひ*2。おもろおまっせ。

20131028追記

表記間違いを見つけたので訂正。

*1:大阪B級グルメ食べ歩きでふたりの距離が近づいていくくだりなどとてもいい。見物です。

*2:ちなみに、現時点ではソフト化の予定なしとのこと。そら残念な。なので録画する方もおわすれなきよう。