チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」オスカー・レヴァント(Pf) ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィアO

この曲を聞いて感心したおぼえがない。「有名な冒頭部とそれに続く30分の蛇足」、いつもそんな印象。
それがどうだ、この1949年録音を聞いて、まさに目から鱗なこころもち。こんなにいい曲だったっけ? ピョートルにわびなくちゃだ。ごめんなさい。
といって、この録音でレヴァントがなにかやっているわけではない。たしかにテクニックはすばらしく、音もうつくしい。伴奏のオケも全盛期のフィラデルフィアOに穴のあろうはずもなく、理想的な付け具合*1。でも、それだけといえばそれだけ。快速調で思い入れ皆無な即物的演奏とでもいおうか。
そんな演奏でも、というか、そんな演奏だからこそ、というか、この曲がとてもチャーミングに感じられるところが音楽のおもしろさだろう。

Eugene Ormandy

Eugene Ormandy

*1:なんだか少しがらっぱちなところが気にならないでもないのだが、それはいつものオーマンディのがらっぱち感なので、まあ、しかたない